「引き合いをいただく」という言葉を取引先へのメールで使ってよいのか、迷っていませんか。
ビジネスでの「引き合い」とは、商品やサービスの価格・数量・納期などについて、取引につながる問い合わせや相談を受けることです。
「引き合いをいただく」は自然な表現で、取引先に感謝を伝えるなら「お引き合いをいただき、ありがとうございます」と書くと丁寧です。
ただし、引き合いはまだ相談や条件確認の段階であり、正式な受注が決まったという意味ではありません。
また、「お引き合い」と「ご引き合い」のどちらが適切なのか、社内報告ではどう言えばよいのかも気になるところですよね。
この記事では、言葉の意味と敬語の考え方を整理し、問い合わせ・受注との違いを具体例で解説します。
取引先へのお礼メールや見積もりへの返信、上司への報告にそのまま使える例文も紹介するので、場面に合った表現を選べるようになります。
「引き合いをいただく」とは取引につながる問い合わせを受けること

「引き合いをいただく」とは、商品やサービスの購入・発注につながる可能性がある問い合わせや相談を受けることです。
たとえば、取引先から「見積もりをお願いできますか」「100個注文する場合の納期を教えてください」と連絡があれば、引き合いをいただいたと表現できます。
ただし、引き合いはあくまで取引を検討している段階なので、実際に注文が決まったことを意味するわけではありません。
どんな問い合わせや相談が「引き合い」に当たる?

引き合いに当たるのは、商品やサービスの取引を前提として、価格・数量・納期などを確認する問い合わせです。
単なる質問とは異なり、購入や発注を検討していることが読み取れるのが特徴ですね。
日本政策金融公庫の海外展開ガイドでも、取引先候補から商品の価格・数量・納期などについて問い合わせを受ける段階を「引き合い」と説明しています。
具体的には、次のような連絡が引き合いに当たります。
- 「こちらの製品の見積もりをお願いできますか」
- 「50個まとめて購入すると、価格はいくらになりますか」
- 「来月末までに納品していただくことは可能ですか」
- 「正式に発注する前に、サンプルを確認できますか」
いずれも、実際の取引を検討するために必要な情報を尋ねていますよね。
こうした連絡を受けたときに「お客様から引き合いをいただきました」と表現できます。
なお、引き合いをした相手が必ず購入を決めているとは限りません。
情報収集や他社との比較を目的として、条件を問い合わせている場合もあります。
「問い合わせ」「受注」との違いは?

「問い合わせ」「引き合い」「受注」は似ていますが、取引への関心や進行状況が異なります。
特に重要なのは、引き合いは取引の可能性が生まれた段階であり、受注は注文を受けた段階という違いです。
それぞれの意味を比較してみましょう。
| 言葉 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 質問や確認などの連絡全般 | 商品の使い方を知りたい |
| 引き合い | 取引につながる可能性がある相談や条件の照会 | 購入を検討しているので見積もりが欲しい |
| 受注 | 顧客から注文を受けること | 商品100個の注文を受けた |
たとえば、お客様から「この商品はいくらですか」と連絡があった場合、購入を検討しているなら引き合いに当たります。
一方、「この商品の説明書はどこにありますか」という質問は、通常の問い合わせであり、必ずしも引き合いとは呼びません。
また、見積もりを依頼された時点では、まだ正式な注文を受けたとはいえません。
日本政策金融公庫の取引交渉の説明でも、「引き合い」は「申込み」や「契約」より前の段階に位置付けられています。
「引き合いをいただいた」と「受注した」を同じ意味で使わないように注意しましょう。
社内で報告する際も、見積もりの相談を受けただけなら「新規のお客様から引き合いをいただきました」と伝えるのが適切です。
つまり、引き合いをいただくことは、新しい取引のチャンスを得たという前向きな意味ですが、売上が確定したことまでは表しません。
「引き合いをいただく」は正しい敬語?丁寧な表現と使い分け
「引き合いをいただく」は、ビジネスシーンで使える自然な敬語表現です。
ただし、取引先に直接お礼を伝える場合は、「お引き合いをいただく」としたほうが、より丁寧な印象になります。
ここでは、「いただく」に込められた敬意や、「お引き合い」と「ご引き合い」の使い分けをわかりやすく解説します。
「いただく」の意味と「お引き合いをいただく」が適切な場面
「いただく」は「もらう」の謙譲語で、相手を立てながら自分が何かを受けることを表す言葉です。
「引き合いを受ける」でも意味は通じますが、「引き合いをいただく」とすれば、問い合わせをしてくれた相手への敬意や感謝が伝わりやすくなります。
文化庁の敬語解説でも、「いただく」は謙譲語に分類され、相手から恩恵を受けるという意味も持つと説明されています。
つまり、単に問い合わせが届いたという事実だけでなく、取引の機会をいただいたことへの感謝も表現できるわけですね。
さらに、取引先へ直接伝える場合は、言葉の前に「お」を付けた「お引き合いをいただく」が適しています。
たとえば、次のような使い分けが自然です。
| 場面 | おすすめの表現 |
|---|---|
| 取引先へのお礼 | お引き合いをいただき、ありがとうございます。 |
| 社内での報告 | 新規のお客様から引き合いをいただきました。 |
| 社内での簡潔な共有 | 新製品について引き合いがありました。 |
社内報告では「お」を付けなくても問題ありませんが、取引先へのメールでは「お引き合い」とするほうが丁寧に収まりやすいでしょう。
迷ったときは、取引先には「お引き合いをいただく」、社内では「引き合いをいただく」と使い分けるのがおすすめです。
「お引き合い」と「ご引き合い」はどちらが自然?

「お引き合い」と「ご引き合い」で迷った場合は、「お引き合い」を選ぶのが自然です。
文化庁の敬語解説では、言葉の前に付ける「お」と「ご」について、基本的に和語には「お」、漢語には「ご」を付けるという原則が示されています。
和語とは、日本語にもともとある言葉を中心とした語で、漢語とは漢字の音読みをもとにした語のことです。
たとえば、「お名前」「お手紙」は和語を使った表現で、「ご説明」「ご住所」は漢語を使った表現ですね。
「引き合い」は「引き合う」からできた和語なので、この原則に照らすと「お引き合い」が自然と考えられます。
実際に、ビジネス用語の解説記事でも「お引き合いをいただき、誠にありがとうございます」という表現が紹介されています。
ただし、「ご引き合い」が必ず間違いになるとまでは言い切れません。
文化庁も「お」と「ご」の使い分けには例外があると説明しており、すべての言葉を機械的に区別できるわけではないためです。
詳しい原則は、文化庁の「お」と「御」の使い分けに関する解説でも確認できます。
取引先へのメールで表現に迷ったら、「ご引き合い」ではなく「お引き合い」を使うと安心です。
なお、「引き合い」という言葉自体が相手に伝わりにくいと感じる場合は、「お問い合わせをいただき」「ご相談いただき」などに言い換えても構いません。
大切なのは、敬語を必要以上に難しくすることではなく、相手への感謝が自然に伝わる表現を選ぶことです。
「お引き合いをいただく」の使い方とビジネス例文
「お引き合いをいただく」は、取引先からの問い合わせや見積もり依頼に対して、感謝を伝えるときに使える表現です。
取引先へのメールでは「お引き合いをいただき、ありがとうございます」、社内報告では「引き合いをいただきました」と使い分けると自然です。
ここでは、実際のビジネスシーンですぐに使える例文を紹介します。
取引先へのお礼メールや見積もり返信で使う例文

取引先から問い合わせや見積もり依頼が届いたときは、「このたびはお引き合いをいただき、誠にありがとうございます」という表現が使えます。
初めて連絡をくれたお客様にも、以前から取引のあるお客様にも使いやすい丁寧な言い方です。
まずは、新規のお客様から見積もりの相談を受けた場合のメール例文を見てみましょう。
【例文1:新規のお客様へのお礼メール】
件名:製品のお見積もりに関するお問い合わせについて
このたびは弊社製品についてお引き合いをいただき、誠にありがとうございます。
お見積もりの作成にあたり、ご希望の数量と納品希望日をお知らせいただけますと幸いです。
内容を確認のうえ、改めてご案内いたします。
何卒よろしくお願いいたします。
このように、最初に感謝を伝えてから必要な情報を確認すると、丁寧でわかりやすいメールになります。
すでに見積もりを作成できるだけの情報がそろっている場合は、次のような返信も使えます。
【例文2:見積書を送付するときのメール】
このたびはお引き合いをいただき、誠にありがとうございます。
ご依頼いただきました製品のお見積書を添付いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
ご不明な点やご要望がございましたら、お気軽にお申し付けください。
引き続きよろしくお願いいたします。
なお、見積もりの段階では、価格・数量・納期などの取引条件が確定していない場合もあります。
日本政策金融公庫の取引交渉に関する解説でも、引き合いの段階で価格・数量・納期などを確認することが示されています。
条件が決まっていない段階で、確定した価格や納期を約束するような表現は避けましょう。
また、相手との関係性や問い合わせの内容によっては、「お引き合い」という言葉を使わずに感謝を伝えても問題ありません。
場面別に使いやすい表現を整理すると、次のようになります。
| 場面 | 使いやすい表現 |
|---|---|
| 新規の取引相談 | このたびはお引き合いをいただき、誠にありがとうございます。 |
| 見積もり依頼への返信 | お見積もりのご依頼をいただき、ありがとうございます。 |
| 一般的な問い合わせへの返信 | お問い合わせいただき、誠にありがとうございます。 |
| 取引内容についての相談 | このたびはご相談いただき、ありがとうございます。 |
「お引き合い」はビジネスらしい表現ですが、相手によっては「お問い合わせ」や「ご相談」のほうが伝わりやすい場合もあります。
取引先へのメールでは、相手の依頼内容に合った言葉を選び、最初に感謝を伝えることが大切です。
上司への報告や社内連絡で使う例文
上司や社内メンバーへの報告では、「引き合いをいただきました」や「引き合いがありました」という表現が使えます。
社内では必ずしも「お引き合い」とする必要はなく、取引の状況が正確に伝わることを優先するとよいでしょう。
たとえば、新規のお客様から見積もりを依頼された場合は、次のように報告できます。
【例文1:新規の引き合いを報告するとき】
本日、新規のお客様から製品Aについて引き合いをいただきました。
現在、希望数量と納期を確認しており、条件がまとまり次第、見積もりを作成する予定です。
この報告なら、取引の相談があったことと、現在の対応状況が一度に伝わりますね。
また、すでに取引のあるお客様から別の商品について相談があった場合は、次のように伝えられます。
【例文2:既存顧客からの引き合いを共有するとき】
既存のお客様から、新製品について引き合いがありました。
現在、価格と納期について確認を進めています。
必要に応じて、関係部署と調整する予定です。
社内報告で大切なのは、誰から、何について、どのような引き合いがあり、現在どこまで進んでいるのかを明確にすることです。
特に、引き合いの段階では正式な発注が決まっていないため、受注したかのような報告にならないよう注意しましょう。
迷った場合は、次のように表現を使い分けるとわかりやすくなります。
| 報告する状況 | 適切な表現 |
|---|---|
| 取引に関する相談を受けた | お客様から引き合いをいただきました。 |
| 見積もりの依頼を受けた | お客様から見積もり依頼がありました。 |
| 条件を確認している | 現在、引き合いの内容を確認しています。 |
| 正式な注文を受けた | お客様から正式に受注しました。 |
「引き合い」という言葉を使うことで、商談につながる問い合わせが発生したことを簡潔に共有できます。
ただし、社内で「引き合い」の定義が決まっている場合は、その基準に合わせて報告することも大切です。
取引先には「お引き合いをいただき、ありがとうございます」、社内では「引き合いをいただきました」と覚えておけば、多くのビジネスシーンで自然に使い分けられます。
まとめ|「引き合いをいただく」の意味と正しい敬語の使い方
「引き合いをいただく」とは、商品やサービスについて、取引につながる可能性がある問い合わせや相談を受けることです。
ビジネスシーンで使える自然な表現ですが、取引先に直接お礼を伝える場合は「お引き合いをいただく」とすると、より丁寧な印象になります。
最後に、意味と使い分けのポイントを整理しておきましょう。
| 確認したいこと | 覚えておきたいポイント |
|---|---|
| 引き合いをいただくの意味 | 取引につながる問い合わせや相談を受けること |
| 敬語として正しい? | ビジネスで使える自然な表現 |
| 取引先への丁寧な表現 | お引き合いをいただく |
| 社内報告での表現 | 引き合いをいただきました・引き合いがありました |
| お引き合いとご引き合い | お引き合いのほうが自然 |
| 受注との違い | 引き合いの段階では正式な注文は確定していない |
特に注意したいのは、「引き合いをいただいた」だけでは、受注や契約が成立したことにはならないという点です。
取引先から見積もりや納期について相談を受けた段階なら「引き合い」、正式な注文を受けた段階なら「受注」と区別しましょう。
また、社内では取引状況を簡潔に伝え、取引先には感謝が伝わる丁寧な表現を選ぶことが大切です。
たとえば、取引先への返信なら「このたびはお引き合いをいただき、誠にありがとうございます」、上司への報告なら「新規のお客様から引き合いをいただきました」と表現すると自然です。
「引き合い」という言葉が相手に伝わりにくい場合は、「お問い合わせ」「ご相談」「お見積もりのご依頼」など、具体的な言葉に置き換えても構いません。
「引き合いをいただく」の意味を正しく理解し、相手や場面に合わせて使い分ければ、ビジネスメールでも社内報告でも自信を持って伝えられます。


